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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

道の真ん中で、象に遭遇

               ≪九月十一日≫    -壱-



夜、眠れない。


 朝の二時頃まで起きていて、日本に宛てた絵葉書に文字を埋める。


 それでも朝早く目が覚め、うっすらと空が開けかけた頃、my自転車で

 外へ飛び出した。


 今日は土曜日で、休日のせいか出勤姿の人もいない、人通りの少ない

 朝だ。


 ”New Road”に入りビックリ!


 前方から、大きな物体がノッシ!ノッシ!とこちらに近づいてくるで

 はないか。



       俺「象・・・・だ。」



背中には、人を二人ほど乗せた状態で、いっぱいの麦わらを積み、

 道の真ん中をゆっくりと歩いてくる。


 牛なら遭遇して、怖い思いをしたことはあるが・・・、まさか象に道

 路で遭おうとは、「ゾーっ」としたな。



象を避けて、ドラゴンに入り朝食を取る。


 その後、郵便局・大使館と回ってみるが、どこもここも休日。


 俺達旅行者に、休日なんてないんだけどな。


 部屋に戻って、洗濯をすることにした。


 こうずっと旅を続けていると、曜日なんてのは無関心になってくる。


 そして、時には日にちさえも忘れてしまう事がある。



時間は次の国に入る度に、”あれッ?この時計狂ってやがる!”そ

 う思い、暫くして”ああ、そうか。時差があるんだっけ!”と気がつく事

 もしばしばである。


 旅を始めて、二ヶ月が過ぎようとしている。



                 *



何もすることがないという事は、疲れることである。


 張り詰めていたものが、プッツリと切れてしまうようだ。


 マンドリンで昼食を取る。


 食事はこのレストラン専門である。


 親父さんと小さな息子だろうか?


 まだ小さな男の子が、テーブル・サービスに走り回っている。



部屋に戻り、シャワーを浴びていると、スコールが降ったり止んだ

 り。


 午後に入ってから、夜を迎えるまでそんな天候が一日中続いた。


 本当の休日になってしまったようだ。



夕食もマンドリンに入る。


 夕食代は〆て12.5Rs(275円)。


 マンドリンでもドラゴンでも、彼女達から預かっているカメラと電卓

 を売り込もうと、交渉をするがなかなかまとまらない。


 やはり、USドルでは無理か。



電卓は手に入りやすいから、なかなか欲しそうな顔を見せない。


 カメラは一様に欲しそうな顔を見せてくる。


 しかし、こちらの条件であるUSドルが壁になっているようだ。


 とは言っても、日本製品に見せる興味は、並々ならぬものがある。


 夕食の時、マンドリンで一緒になった、インドの青年の話による

 と、”飛行機でインドに入ると、カメラなどに税金をかけられて損をす

 る。”などと言う話を聞いたことがある。



夕食の帰り、近くの土産物屋に立ち寄る。


 前から目をつけていた、黒字に金色のドラゴンの刺繍が入ったチョッ

 キを手に入れる。


 75Rs(1800円)。


 趣味が悪いと言うなされ。


 USドルで交渉するが、安くはならなかった。



台湾とか、香港のように、思いっきり吹っかけたりしないせいか、

 絶対大きなダンピングはしないみたい。


 現地の人も、カメラを正当な値段で手に入れようと、何でもかんでも

 食いついてくると言うような事はないのだ。


 タイまでの駆け引きが、ここネパールではあまり効果がないような気

 がしてきた。



他の店で、チューブ入りの歯磨きとトイレット・ペーパー、それに

 濃縮のオレンジ・ジュースを購入。


 全てインド製。


 トイレット・ペーパーは、日本の物と比べてもひどく小さいし、紙の

 質は恐ろしく固い。


 下痢用の紙には良いかも知れないが、・・・・これで穴を拭くと、赤

 くはれ上がりそうでちょっと怖い代物だ。


 このロッジも、かなりの毛唐が泊まっているが、ペーパーもないのか

 週刊誌のきれっぱしで拭いているのか、トイレがしょっちゅう詰まって汚

 くなって困るのだ。



                 *



ネパールの人たちの遊びも、どこの国の人たちと同じなんだろう。


 やはり”賭け事”が非常に好きなようだ。


 天気の良い日などは、どこかの陽だまりで集まって、ワイワイと大の

 大人が騒いでいる姿は、なんとものどかである。



若い人たちは、やはりファッションに興味があるようだ。


 なかなかのスタイリストが揃っている。


 子供達は、凧揚げ・ビー玉・縄跳び・・・と、日本で昔やった遊びと

 なんら変わりがないようだ。


 それってやはり、遊びのルーツがこちらにあるという事なのか。



仕事も昔の日本と良く似ていて、男の仕事・女の仕事とはっきり区

 別されている。


 たとえば、テーラーのミシン掛け・レストラン・店頭の売リ

 子・・・・、皆表だった事は男の仕事だ。


 女達は、ひたすら家庭の事を守っている。


 洗濯機もなく、レンジもなく、掃除機もないがなんの不満もおきな

 い。



このロッジの前の道路でも、朝になると大きなたらいに水を入れ

 て、若い女性が出てくる。


 たらいの中に衣服を入れて、ゴシゴシやったり、パンパンたたいてみ

 たり、力のいる洗濯をしているの姿を毎日目にする。



子供達が学校に通っているのは、やはり恵まれた子供達で、普通の

 子はほとんどが、小さい時から両親と一緒に、家族のために働いているの

 です。


 だからほとんどが文盲だ。


 だからと言おうか、当然小さな子供でも、大人びたことを言う子が多

 いのは確かである。


 日本も昔こうだった。



明日は日曜日。


 明日ものんびりして、月曜日一仕事。


 そして、火曜日にはここカトマンズを後にする。


 旅はこれから佳境に入って来る。



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